ASEAN+3マクロ経済研究所(AMRO)は、2029年に予定されるカンボジアの後発開発途上国(LDC)卒業を前に、電力供給体制の強化が必要だと指摘しました。太陽光発電の拡大や送電網の整備、蓄電設備の導入、ASEAN域内の電力連携を進めることで、製造業の競争力向上と高付加価値産業への転換を後押しするよう提言しています。
■ 発表の概要
AMROによると、カンボジアでは電力料金の高さと供給の不安定さが、製造業の高度化や新たな投資を呼び込むうえでの課題となっています。2024年の産業向け電力料金はベトナムの約2倍とされ、世界銀行の2023年企業調査では、カンボジアの製造業企業の55.7%が停電を経験していました。
一方、同国の電力供給能力は拡大しています。2025年の電源設備容量は5,932メガワットとなり、2024年の5,183メガワットから増加しました。電力供給量も前年比12%増の2万2,361ギガワット時に達しています。
■ 背景
カンボジアの輸出は、衣料品、履物、旅行用品などの労働集約型製品に大きく依存しています。今後、部品製造や素材加工など、より付加価値の高い産業を育成するには、安定した電力を競争力のある価格で供給することが重要です。
2025年の電力供給では、石炭火力が47.7%、水力発電が39.7%を占めました。太陽光発電の割合は10.2%に達したものの、天候による発電量の変動や送電網の制約に対応する必要があります。水力発電も降雨量や干ばつの影響を受けるため、電源の多様化が課題となっています。
■ 今後の見通し
AMROは、太陽光発電の拡大に加え、送電インフラの近代化、蓄電容量の増強、送電ロスの削減を提言しています。また、ASEAN電力網(ASEAN Power Grid)との連携を深めることで、電力調達先の多様化やエネルギー安全保障の強化につながるとしています。
カンボジアは2029年12月19日にLDCを卒業する予定です。卒業後は一部の貿易優遇措置が段階的に縮小される可能性があり、輸出産業には生産性や品質、コスト面での競争力強化が求められます。
電力インフラの改善は、製造業の投資誘致だけでなく、国内での素材加工や部品生産の拡大にも関係します。電力政策と産業政策を連動させ、安定した供給体制を整えられるかが、LDC卒業後の経済発展を左右する重要な課題となりそうです。
それではまた!!
※本記事は海外報道を参考に内容を整理し、独自に再構成しています。
参考記事:https://www.khmertimeskh.com/502046085/cambodia-must-power-up-ahead-of-ldc-graduation-amro-says/



