ムーディーズ・インベスターズ・サービス (ムーディーズ) は火曜日、カンボジア政府の見通しをステーブル(安定的)からネガティブ(弱含み)に変更し、カンボジア政府債格付けをB2と評価し、こちらは据え置きました。
政府債格付け:政府の財政の信頼度を評価したものです。
ムーディーズによると、カンボジアは譲許的資金調達が継続し、海外直接投資(FDI)が安定していると予想していますが、他の資金調達源は依然として不透明であり、これまで観察されていたよりも急速に外貨準備が減少するリスクがあるとしています。
つまり、資金調達に懸念があるということですね。
また、2020年初頭以降の不安定性はパンデミックによる一時的なものかもしれませんが、GDPに占める経常赤字の比率は2021年に46.2%、22年に約20%と、21年までの過去10年間の平均9.5%を大幅に超過しています。
さらに、外貨準備高は21年の170億米ドル(約2兆3,820億円)から、22年には150億米ドル、23年には130億米ドルと減少する見通しです。
一方で、ムーディーズは依然として、カンボジアが2022年に4.5%、2023年に5.5%という堅調な成長を予測しており、2010年から2019年にかけて記録された平均の7%からは減少しているものの2021年の推定3%の成長から大幅に増加しています。
また、カンボジアでは1983年以降、債券やローンの債務不履行が発生したという記録はなく、現時点で格付けが引き上げられる可能性は低いが、経常収支赤字が大幅に縮小するなど、カンボジアの対外ポジションへの圧力が持続的に緩和されれば、ムーディーズは見通しを安定的に修正する可能性が高いとも述べています。
・中国の新型コロナウイルスゼロ政策の継続
・カンボジア主要輸出市場(米国、EU)における景気後退リスクによる懸念
・観光産業が少なくとも2025年まで完全には回復しないというムーディーズの予想
カンボジアは依然として中国の影響は強いです。
高級不動産セクターの活動の減速は、建設と不動産が担ってきたGDP成長を鈍化させる大きな原因になりますが、高級不動産の建設縮小は、より安定した実質GDP成長につながる可能性があることを考えると長期的にはカンボジアにとってプラスになる可能性もあります。
また、中国への依存を弱めるべくカンボジアは少しずつ対策をとっているという意見もあります。
カンボジアの輸出市場の開拓に関しては頻繁にこのブログで記事にしている通りで、かなり積極的に行なっています。
個人的には、主要輸出市場(米国、EU)だけでなく、RCEPや2国間FTAによってカンボジアの輸出は拡大していくと考えています。
観光に関しても、パンデミック前は年間600万人以上の外国人観光客が来ていましたが、2022年は150万人〜200万人と予想されています。
しかし、2020年〜2021年の数字から見るとかなりの回復でして、カンボジア政府の対応の速さが際立ちました。
個人的にも2025年まではパンデミック前と同水準まで戻るのは厳しいと思いますが、2023年には東南アジアのオリンピックであるSEA Games2023がカンボジアで開催されることを考えると、もう少し早く回復しないかな…なんて期待しちゃいます。
後半は期待を込めて色々と主観で書いていますが、投資やカンボジア進出を考える際はムーディーズの評価を参考にしつつ、少しだけ現地の声も聞いてみるというのが良いと思います!!
次回の評価は改善へ向かうことを期待します!!
それではまた!!