国際通貨基金(IMF)は2024年4月の世界経済見通しの中で、カンボジアのGDP数値の計算の基準年を2000年ではなく2014年として計算した数値を受け入れ、経済規模が以前のGDP計算より35%拡大していることを示しました。
アジア開発銀行(ADB)の統計によると2023年のカンボジアのGDPは319億ドルでしたが、基準年を2014年で計算し直した数値では、2023年のカンボジアのGDPは419億ドルになるとのことです。
※メコン・ストラテジック・キャピタル(MSC)調べ
メコン・ストラテジック・キャピタルMSCによると、この基準年の変更は、カンボジア経済の規模をより正確に推定するための国立統計研究所(NIS)による、かなり遅れながらも厳格なプロセスの結果であり、このプロセスはIMFによって検討され、受け入れられたとのことです。
この「かなり遅れながら」というのがポイントで、2014年を基準年としていることも時代遅れで、現在進行中の経済変革を考慮した最新の推計では、経済規模は35%ではなく45~50%拡大する可能性があると考えられています。
今までのGDP推計は23年前を基準値にしていたため、それ以来見られた経済の構造変化、インフレの影響、技術進歩を適切に反映していなかったことになるので、正確性に欠ける数字だったということは間違いないですね。
少なくとも5年ごとに基準年を更新する必要があるとされているので、2014年を基準年としたところでまだ時代遅れな感じです。
発展途上国では良くあることのようで驚くことでは無いそうです。
とりあえず、今後なるべく正確な数値が発表されることを祈ります。
さて、GDPが拡大したということは多方面で認識が変わってくることになります。
民間債務対GDP比や公的債務対GDP比は低い水準に低下することになります。
公的債務対GDP比ただでさえ低い水準を保っていましたが、これよりも低下することになりそうですね。
また、MSCのメモによれば、一人当たりのGDPも約35%増加し、カンボジアは上位中所得の地位の達成に約5年近づくことになるとされています。
カンボジアはこれまで、2030年までに上位中所得国、2050年までに高所得国になるという目標を掲げていましたが、これが早まる可能性があります。
これらは大きな変化になるので、投資家やその他の人々がカンボジアをどのように認識するかに大きな影響を与えそうですね。
一方で、税務総局(GDT)は、GDPに占めるカンボジアの課税ベースを増加させたことで評価されていますが、GDPが拡大していたとなるとその評価が一転し、カンボジアの課税水準にも影響を与える可能性があります。
難しい話が続きましたが、簡単にまとめるとこんな感じです。
今で古いデータを基に経済規模を算出していたが、ちょっと基準データを新しくしてみたら思ったよりもカンボジアの経済規模が拡大していた
ちなみに、お隣タイのGDPは2022年時点で約5000億ドル、またまたお隣のベトナムは2022年時点で約4100億ドルです。
今のカンボジアのGDPを419億ドルで見て隣国と比べると、タイの1986年(GDP431億ドル)、ベトナムの2004年(GDP454億ドル)あたりが同じくらいの数値になります。
単純計算で見ると、タイの約37年前、ベトナムの約19年前くらいの水準ということになります。
成長が波に乗ると指数関数的にGDPは増加していくので、この10年〜20年くらいでカンボジアは見違えるくらいの成長をするかもしれません。
これからのカンボジアが楽しみです。
それではまた!!