カンボジア信用情報局(CBC)の最新報告によると、2025年第3四半期のカンボジアのリテール信用市場は引き続き拡大し、9月末時点で融資残高は161億7000万ドルに達しました。
前期比1.22%増で、全国の消費者の借入需要が続いていることを示しています。
口座数も約232万件(前期比5.76%増)に増加し、個人金融ローンや住宅ローン、クレジットカードすべての分野で伸びが見られました。
融資残高の拡大は特に個人金融ローン(3.7%増)と住宅ローン(3.4%増)が主導しています。
一方で、返済遅延への懸念も指摘されています。
90日以上延滞している割合は、個人金融ローンで6.4%、住宅ローンで9.1%、クレジットカードで4.87%に達しており、慎重な管理が求められます。
また、借り手の約7割が1つの金融機関から借入を行っている一方、約3割は複数機関と取引しており、返済リスクが高い層とされています。
CBCによると、信用報告制度は責任ある融資判断を支え、金融セクターの安定に貢献しています。
融資機関は家計や企業のニーズに応じつつ、健全な信用規律を保つことが期待されています。
一方、カンボジア銀行協会(ABC)は、収益の減少や不良債権(NPL)の増加を背景に、信用の伸びが鈍化していると報告しました。
2025年半ば時点での伸び率は約2.9%にとどまり、多くの中小企業や個人が事業収入の減少を理由に新たな借入を控えています。
ただし、銀行セクターは依然として安定しており、預金の増加や堅実な規制体制に支えられています。
カンボジア国立銀行(NBC)は、準備金要件の引き下げなどで銀行の流動性維持を支援しており、融資再編制度を通じて返済困難な借り手を支援しています。
全体として、信用市場の成長は続くものの、融資の質と返済リスクへの警戒が重要な局面に入っています。
個人向けの融資、特に住宅ローンが増加しているのはポイントだと思っています。
先日の記事でも述べましたが、カンボジアの中間層は不動産価格が高いのでマイホームを持つことができていない状況です。
中間層向けの住宅開発が行われることが前提ですが、住宅ローンの条件(期間や金利)が良くなっていくと中間層がマイホーム購入に前向きになり経済が活発化していくと思うので、今後のカンボジア金融業界の発展に期待です。
【カンボジア経済】融資残高が161億ドルに、個人金融と住宅ローンが牽引
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