カンボジアは2027年までに後発開発途上国(LDC)の地位を卒業し、より競争の激しい世界に参入する準備を進めています。
また、2030年までに上位中所得国の地位を獲得し、2050年までに高所得国の地位を獲得するとが期待されています。
上記は前向きな進展である一方で、これから経済成長していく中でカンボジアが直面するのが関税譲歩が無くなるということです。
例えば、EUの一般特恵関税制度の対象国から外れるなどが挙げられますね。
今までは後発開発途上国(LDC)の地位の特権でカンボジアの製品が関税無しで先進国に輸入されていましたが、これが無くなってしまいます。
つまり、先進国にとってカンボジアの製品を輸入する大きなメリットが無くなってしまうことになります。
このことについて、フン・マネット首相はこのように述べています。
“When we were poor, developed countries helped us to be strong. As we have started growing, we have to live on our own, which is what we need to do now. Otherwise, we cannot become a country having a high standard of living,”
引用元:KHMER TIMES 「Cambodia keen on tapping GSP Plus post-LDC」
【訳:Google翻訳】
「私たちが貧しかったとき、先進国が私たちを強くしてくれました。私たちは成長し始めたので、自分たちで生きていかなければなりません。それが今私たちがしなければならないことです。そうでなければ、我々は高い生活水準を持つ国にはなれない」
2027年までに後発開発途上国(LDC)の地位を卒業を予定しているカンボジアは、近い将来、今以上に自力が試されることになりそうですね。
そうは言えども、LDCの地位を卒業した瞬間から関税譲歩の全てが無くなるわけではなさそうです。
EUの場合には一般特恵関税制度(GSP)の他に一般特恵関税制度プラス(GSP+)というものがあり、条件をクリアすることでLDCの地位を卒業した後でもカンボジアは関税譲歩の申請ができるようです。
しかし、実際にはカンボジアのEUへの輸出は、関税譲歩の一部撤廃や昨今の世界的な経済状況の悪化により減少傾向です。
2021年には米国に次いでEUは2番目の輸出国でしたが、現在はトップ3には位置していないかと思います。(おそらく米国、ベトナム、中国)
お隣ベトナムは2023年1月1日よりEUの一般特恵関税制度プラス(GSP+)の対象からも外れたみたいですので、ベトナムの今後の動向がカンボジアにとって大きな学びになりそうですね。
RCEPや2国間自由貿易協定の締結によりアジアでの貿易が活性化されているのは間違い無いので、欧米との関係には目が離せません。
※RCEPとは?:10のASEA加盟国、ブルネイ、カンボジア、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、シンガポール、タイ、ベトナムと、 5つの貿易相手国である中国、日本、韓国、オーストラリア、ニュージーランドが参加する貿易協定。
カンボジアの自力が試されるというのは、シンプルに「良いものを作る」ということに繋がり、
下の記事で書いた各産業の「質の向上」が今後のカンボジアにとって重要になります。
隣国のタイやベトナムは、農業中心から工業中心へ産業構造を転換さ、製品の質(付加価値)を高めていったことで大きく経済成長していったので、先ずはそこに続きたいですね。
そして、地理的優位性や若い労働力などの強みを活かして存在感を発揮していってほしいです。
それではまた!!