カンボジア政府は、後発開発途上国(LDC)の地位を2029年に卒業することを見据え、製造業者に対して「現地調達率」の向上を求めています。
LDC卒業により、貿易優遇措置を失い、世界貿易機関(WTO)に基づく厳しい国際貿易義務に直面するため、競争力を維持し、経済の安定を図るための重要な対策とされています。
産業・科学技術・イノベーション省のヘム・ヴァンディ大臣は、国内製造業者に対し、現地のサプライヤーとの連携を強化し、原材料や部品の調達を国内で賄う努力を求めました。
カンボジア飲料会社の新CEO、パウロ・ガスパール・ロドリゲス氏への要請もその一環です。
経済学者のドゥク・ダリン氏は、現地調達率の向上は、カンボジア経済の生産コスト削減やバリューチェーンの効率化に寄与すると指摘しています。
また、外部からの経済ショックにも強い経済構造を構築することが可能になると述べています。
LDC卒業後の国際市場での競争力を維持するためには、輸入に依存した現在の製造モデルから脱却し、より自立した製造エコシステムを構築することが不可欠です。
カンボジアでは現在、衣料品、電子機器、履物などの製造業が輸入原材料や輸入部品から製品を作ることに大きく依存しています。
例えば、オートバイ製造に使用される部品の約80%が輸入品であり、現地部品が占める割合は最終製品のわずか25%程度です。
一方で、周辺諸国では現地部品の割合が80%に達しており、この差を埋めることが急務となっています。
カンボジア政府は、LDC卒業後の競争力を確保するため、次のような取り組みを進めています。
- 地元産業への投資: 国内企業の能力強化や技術開発の促進。
- インフラ改善: 製造業を支えるインフラの整備。
- 人材育成: 技術者や労働者のスキルアップ。
- 自由市場経済の促進: 競争力のある経済制度の整備。
こうした努力により、製造業での現地調達率を現在の30%から60%に倍増させる目標が掲げられています。
カンボジアは、急速な経済成長を遂げてきましたが、LDC卒業は大きな転換点となります。
現地調達率の向上は、短期的な課題への対応にとどまらず、長期的な経済の持続可能性を確保する鍵とされています。
国内企業と政府が一丸となり、強固な製造エコシステムを築くことで、カンボジアは2029年以降も安定した成長を続ける道を開くことが期待できます！！
これからの5年間をしっかりと現地で見届けていきたいと思います！！
それではまた！！
参考記事：https://www.khmertimeskh.com/501607439/govt-urges-more-local-content-as-ldc-graduation-looms/
