新興国への投資において注意するべきポイントに「カントリーリスク」という言葉がよく出てきます。
カントリーリスクとは、その国の政治・経済・社会情勢の変化によるリスクのことを言いまして、2021年に起きた隣国ミャンマーの軍事クーデターや、2022年に勃発したロシア-ウクライナ戦争によって、投資先の国のカントリーリスクについて敏感になっている人が増えていると思います。
カンボジアは地震や台風などの自然災害リスクは極めて低いですが、政治面で不安を持つ人もいるかと思います。
そこで、今回はカンボジアの政治について基本情報をまとめていこうと思います!!
カンボジア政治の基本情報
カンボジアの政治 | |
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政治体制 | 立憲君主制 |
国家元首 | ノロドム・シハモニ国王(2004年10月即位) |
議会制度 | 二院制 |
行政 | 議員内閣制 |
司法 | 三審制 |
・立憲君主制
君主制とは世襲の君主が主権を持つ政治形態のことで、日本で言うと天皇陛下が君主になります。
一方で、憲法に従って君主の権力が一定の制約を受ける政治体制を立憲君主制と呼びます。
「君主は君臨すれども統治せず」という言葉があるように、立憲君主制における君主は名目化・象徴化が進んでいると言われています。
これは国民主権という思想から主権は国民にあるという考えが確立していることに原因があります。
つまり、カンボジアと同じで日本の政治体制も立憲君主制になります!!
日本の君主は天皇陛下でカンボジアの君主は国王です。
・二院制
カンボジアは1993年に上院が設置されてから二院制となっています。
【上院議員】
一般国民からの投票ではなく別の方法で選ばれる議員のこと。
下院の動きを規制する役割を期待されている。
【下院議員】
一般国民の投票によって選ばれる議員のこと。
国民の意見を反映した議論が期待されている。
参考 ことくらべ 「上院議員」と「下院議員」の違いって?
カンボジアは普通選挙にもとづく民主主義ではありますが、2017年に支持を集め始めていた最大野党の救国党が解党され、2018年の総選挙では与党の人民党が圧勝し下院の議席を独占したことから、近年は専制政治の色が濃くなってきています。
また、カンボジア救国党が解党され、その後はその流れをくむ新党キャンドルライト党が最大野党になっていましたが、2023年の国政選挙ではキャンドルライト党は書類が受理されずに選挙に参加することはできませんでした。
また、2023年の国政選挙後に前首相であるフン・セン首相の長男であるフン・マネット元陸軍司令官が首相に任命されたことにより、フン・セン氏は38年間の在任期間を終え、長男であるフン・マネ氏に首相を引き継ぐ形になりました。
・議員内閣制
現在のカンボジアは首相の下に、閣僚評議会と27省1庁があります。
現首相はフン・セン氏であり、農家生まれの軍隊出身の首相で通算で約30年間首相職を務めています。
・三審制
三審制とは1つの事件で3回まで裁判をすることができる制度です。
公正な判断をするための制度のですね!!
一般裁判所として州々特別市裁判所、控訴裁判所、最高裁判所があり、その他に軍事裁判所がある。労働法典は労働裁判所を規定しているが未設立。
引用元:公益社団法人 国際労働財団 カンボジア基本情報
・最後に
調べてみて率直に日本の政治体制と似ているなと感じました。
内戦後に日本からの支援があったのがその理由かもしれません。
また、内戦後のカンボジア政治は安定していると思います。
しかし、近年は先ほど述べたように独裁とまでは言わないものの専制政治の色が強くなり、その強権的な政治へ内外から批判があることは事実です。
一方で、よくも悪くもカンボジアはフン・セン前首相が就任してから現在までは安定した政治が行われていて、フン・マネット首相に引き継がれた今でも政治は安定していると見ていいと思います。
フン・マネット首相は、アメリカ合衆国陸軍士官学校を卒業し、ニューヨーク大学にて経済学の修士号、2008年にはイギリスのブリストル大学でも経済学の博士号を取得していることからも、外交に期待が集まっています。
首相を世襲するのはどうなのかと批判的な声は上がっていますが、発展途上国ではそうせざるを得ない状況もあるかと思います。
また、カンボジアでは公務員に世襲ではなく一般から優秀な人材を採用する動きも出てきているので、経済発展と同時並行で良い方向に進むことを祈ります。
カンボジアの歴史に関して知りたい方はぜひこの記事を読んでみてください!!
それではまた!!