2025年5月28日以降、カンボジアとタイの国境で軍備増強や国境検問所の一時閉鎖、外交摩擦の激化が続いており、これは両国にとって近年最悪の国境紛争の一つとされています。
特に、モンベイ地域の係争地帯をめぐる対立が深まり、プレアヴィヒア寺院をめぐる2008年〜2011年の紛争の再燃とも言える状況です。
この紛争の経緯についてはこちらの記事で簡単にまとめています。
この緊張は、両国の経済に深刻な影響を及ぼし始めています。
両国は800km以上の国境を共有し、16の公式国境検問所が貿易・観光・労働移動の要となっているため、長期化すれば物流の混乱、投資の減退、地域経済への打撃が避けられません。
特に影響を受けているのは、①農業貿易、②観光業、③タイから帰国する移民労働者です。
農業分野では、キャッサバや米などの輸出が滞り、タイの市場や資材への依存度が高いカンボジアの農産加工業も打撃を受けています。
観光業では、ポイペトなどの国境閉鎖により観光客の流入が減少。タイはカンボジアにとって最大の陸路観光供給源であり、観光業全体に不安が広がっています。
また、カンボジア政府はタイに滞在する約200万人のカンボジア人労働者に帰国を促しており、一部では差別や暴力を避ける動きも見られます。
しかし、帰国した労働者の受け入れ体制には課題があり、雇用の確保や社会復帰支援が急務です。
民間企業や団体も支援に乗り出しており、CCCAやゴールドフェイム・グループ、アーバン・ビレッジなどが職業訓練や仮設住居の提供を行っています。
また、起業支援として、ファクトリー・プノンペンではカンボジア人向けに1か月間無料のワークスペースも提供しています。
政策面では、カンボジア政府は以下の3点に重点を置く必要があります。
- 貿易の強化:物流インフラへの投資や貿易相手の多様化により、国境貿易の回復力を高める。
- 観光の多様化:第二の観光地の開発や国境施設の整備を進め、タイ経由の依存を減らす。
- 労働者の再統合支援:職業訓練や雇用マッチングの促進で帰国者の生活を安定させる。
また、タイとの外交関係の安定化も経済再建には不可欠です。
専門家は、現在の危機を乗り越えるだけでなく、カンボジアが自国の経済主権を強化し、長期的な成長につなげるチャンスにできると期待を寄せています。
両国の協調と迅速な対応が、地域全体の安定と繁栄の鍵を握るでしょう。
このタイとの緊張状態はすぐに解決するものでは無いと思うので、上記にあるように多様化によって経済を拡大していくことが重要ですね。
今後も情報を追っていきます。
それではまた!!
参考記事:https://www.khmertimeskh.com/501704858/can-cambodia-turn-the-border-crisis-into-an-opportunity/