カンボジアの銀行業界は、新型コロナウイルスのパンデミック後、回復の遅れによって収益が大幅に減少しました。
特に、カンボジアの主要5銀行(ABA、ACLEDA、Canadia、KB Prasac、Sathapana)の収益性は2019年から2023年にかけて低下し、総資産利益率(ROA)は2.3%から1.2%、純利益率(NPM)は26.6%から16.5%まで落ち込みました。
その他の54銀行でも同様の傾向が見られ、ROAの中央値は1.5%から0.3%、NPMは27.2%から6.2%に下がっています。
この収益性低下の大きな要因の一つは、パンデミック期間中にカンボジアの銀行が低金利の恩恵を受け、多くの融資を行ったことです。
当時、米国の低金利政策とカンボジア国立銀行(NBC)の融資促進策により、銀行は低利で融資を提供し、企業や個人の借入が増加しました。
しかし、パンデミック後、企業や個人の経済回復が予想よりも遅れ、多くが借入金の返済に苦しむようになりました。
特に不動産投資に大きな資金を投入した人々は、期待していた収益を得られず、返済負担が増大しました。
その結果、不良債権のリスクが高まり、銀行は融資引当金を増やさざるを得なくなり、収益が圧迫されました。
こうした影響は、当初の低金利による銀行の利益を相殺し、長期的な財務健全性に悪影響を及ぼしています。
業界関係者は、この収益性低下を重要な警告と捉え、銀行が持続的に成長するためには、コスト管理の革新や先進技術の導入が不可欠だと指摘しています。
また、信頼性の高い安全なサービスの提供を優先し、顧客のニーズを重視することが市場競争での生き残りに必要だと述べています。
専門家によれば、カンボジアの銀行業界だけでなく、世界的に同様の収益性低下が見られるものの、今後数年で回復の可能性はあるとしています。
ただし、そのためには、不良債権の管理と運営コストの最適化が不可欠であり、銀行業界全体が慎重な経営判断を行う必要があるとのことです。
銀行業界は今、踏ん張りどころですね。
コスト管理や技術導入などの銀行側の努力に加えて、不良債権に対する法律が整備されてくれば徐々に回復に向かっていくと思います。
この記事でも述べていますが、全体の預金額は増えています。
その増えた預金を貸し出すことで利益が出るので、早く不良債権問題が落ち着いていくことを祈ります。
それではまた!!
参考記事:https://www.khmertimeskh.com/501646638/slow-post-pandemic-recovery-led-to-decline-in-banks-profits/
【カンボジア経済】銀行収益低下の背景と今後の見通し

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